不老不死は可能か?オスとメスの誕生と同時に死は生まれた
2022/06/05
人はなぜ死ぬのか。不老不死になるにはどうすればいいのか。
進化の過程で死がプログラムされるようになったことや、がん細胞を用いて不老不死の人間を作ることを解説していく。
性と死は同時に生まれた
細胞の死には2つあり、アポトーシスとネクローシスがある。アポトーシスとは細胞がプログラムに沿って自動的に死ぬことで、ネクローシスとはやけどや怪我などの物理的破壊で死ぬことです。
細胞は何らかの刺激を受けた時に自ら死ぬかどうかを選択しており、これが不老不死と関係しているとみられています。
大腸菌やビフィズス菌は自ら死んでいくことはなく、適切な温度や十分な栄養があれば増え続けます。
大腸菌は約35億年前に生まれました。大腸菌は生きていくために必要な遺伝子を1セットしか持っておらず、1倍体の細胞でできています。一方で人間は、父親と母親から遺伝子のセットを1つずつもらうので、2倍体の細胞でできています。
生物の誕生から20億年間は1倍体の生き物の世界で死がない世界でしたが、その後はオスとメスという性が生まれて、2倍体の生き物が繁栄しました。つまり、不老不死の世界だったのが、性が生まれると同時に死が生まれたのです。
精子と卵子になるときに、父親と母親の遺伝子で組み換えがランダムに起こり、とりあえずたくさんの遺伝子の組み合わせを作ります。その中で不良品があったら、死によって消去していきます。受精卵になった時も、不適切な受精がされれば、受精卵は自ら死んでいきます。
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人間は不老不死になれるか?
がん細胞とはアポトーシスを忘れた細胞です。自ら死を選ぶことがないため、どんどん増殖し、無限に増えていきます。抗がん剤の中には、がん細胞に再びアポトーシスを呼び戻し、がん細胞が自ら死ぬように仕向ける薬もあります。
不死のがん細胞ですが、ではがん細胞から悪さをする部分だけを取り除いて、健康な細胞に作り変えてしまえば、不老不死の人間ができるのでしょうか?
人間の細胞には2種類あって、皮膚や血液、肝臓などの再生する細胞と、神経や心臓の心筋などの再生しない細胞です。なので、2種類の細胞をうまくコントロールして不死につなげる必要があります。一方が不死になっても、もう一方が死んでしまえば、個体としては死んでしまうからです。