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雑学

大天使の赤翼の効果は?審判のカードは火のエレメンツなので3天使とも大天使ミカエル?

熾天使は、天使の階級の一つです。ヘブライ語では単数形がשְׂרָף(セラフ)、複数形がשְׂרָפִים(セラフィム)となります。この言葉はギリシア語やラテン語でも同様に用いられ、ヘブライ語の音写がそのまま使われています。「熾」は「火が盛んに燃える」を意味し、神への愛と情熱で体が燃えていることを表します。

偽ディオニシウス・アレオパギタによると、熾天使は天使の九階級の最上位に位置づけられます。彼らの姿は、3対6枚の翼を持ち、その内の2枚で頭を、2枚で足を隠し、残りの2枚で羽ばたいているとされています。

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ヘブライ語の「שָׂרַף」(sarap)は、「燃える」や「燃やす」という動詞として使われ、『レビ記』や『ヨシュア記』などの聖書に広く登場します。また、「שָׂרַף」は通常、「蛇(毒蛇)」を指す名詞として解釈されます。この語がなぜ蛇を指す言葉として使われるようになったかは不明ですが、その説としては、蛇の毒が火のようであることや、蛇の色が赤かったことが挙げられます。

熾天使として解釈される「שָׂרַף」の出典は、『イザヤ書』6章2節で述べられています。ただし、同書中では、「蛇」の意味でこの言葉が使われる箇所もあります。例えば、30章6節には「שָׂרָף מְעוֹפֵף」(sarap me'opep)という表現があり、「fiery flying serpent(火のように飛ぶ蛇)」と訳されています。

古代エジプトの蛇形記章(ウラエウス)やオリエントの伝承にも、「蛇+翼」の意匠が広く見られます。一説には、セラピムと呼ばれるカルデア神話に登場する稲妻の精が、六枚の翼を持つ蛇の姿で炎のように飛ぶとされています。これらの文化や伝承が後のユダヤ教に影響を与えた可能性については、学術的な議論が行われています。

また、神の御前にいるとされるラファエル、ウリエル、ミカエル、ガブリエルの四大天使は、偽ディオニシウス・アレオパギタが定めた天使の九階級のうち、下から二番目の階級の大天使とされています。しかし、イギリスの詩人ジョン・ミルトンの『失楽園』では、この四大天使は熾天使として扱われています。また、悪魔の王となったルシファーも、堕天する以前は最上位の熾天使であったとされています。

『ヨハネの黙示録』4章6-9節で語られる4つの生き物(four beasts)も、6枚の翼を持つ点や「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と唱える点が熾天使と一致しますが、獅子・雄牛・人・鷲の4つの特徴は、智天使に似ています。

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さて、タロット・カードについてですが、一般には悪魔のカードが強い印象を持たれますが、実際には天使も同じくらいの頻度で登場しています。

左には「6. The Lovers/恋人たち」、中央には「14. Temperance/節制」、右には「20. The Last Judgement/審判」が描かれています。

この赤い翼を持つ天使は、西洋の四大元素(火・水・空気・地)のうち火の属性をもつ「大天使ミカエル」であると言われています。

(この象徴的対応関係は、ウエイト氏が所属していた秘密結社・黄金の夜明け団によって確立されたものです)

このカードの作者であるウエイト氏自身は、断定してはいませんが、大天使ミカエルが彼のお気に入りだったようです。

(ユダヤ教においては、ミカエルはイスラエルの守護者とされています)

ちなみに、それまでのマルセイユ版「6. The Lovers/恋人」では、悪戯好きの神クピードー(英語ではキューピッド)が描かれていました。

また、キリスト教の「最後の審判」に登場する天使は大天使ガブリエルですが、ガブリエルは四大元素では水の属性となっています。

しかし、ウエイト氏の提唱するタロットと占星術上の対応では、「20. The Last Judgement/審判」のカードは火のエレメンツに対応していますので、やはり3天使とも大天使ミカエルであると考えられます。

大天使ミカエルの絵画には、戦っている様子を描いたものが多くあります。彼は天の軍団を率いる戦士のようなイメージですが、同時に病を癒す天使としての一面も持ち、守護聖人の最高位の一人とされています。

「14. Temperance/節制」のカードの象徴は、ギリシャの女神アイリスと解釈されることもありますが、その詳細については今後の掘り下げで触れていきたいと思います。

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