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最後の審判の各宗教での解釈の違い。高価なラピスラズリを使ったミケランジェロの最後の審判

最後の審判(さいごのしんぱん、Last Judgment)は、ゾロアスター教やアブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教)が共有する終末論的世界観であり、人間が死後、その生前の行いに基づいて審判され、天国か地獄行きかが決定されるという信仰です。特にキリスト教では、「怒りの日」と同義に扱われます。

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ゾロアスター教 「最後の審判」という概念は、ゾロアスター教に先行しており、キリスト教やイスラム教とは関係ありません。ゾロアスター教の世界観では、世界は善なる神アフラ・マズダと悪なる神アンラ・マンユ(アーリマン)との闘争の場として捉えられ、最終的に悪が滅びた後に世界も滅び、その後に最後の審判が行われると考えられています。

ゾロアスター教の最後の審判では、地上における死者が全員復活し、彗星が天から降り注ぎ、世界中の鉱物が溶け、復活した死者たちを受け入れ、義人は熱を感じず、不義人は苦悶に泣き叫ぶとされています。

一部の説では、この審判が三日間続き、不義者の罪が浄化され、全ての人が理想的な世界に生まれ変わるとされています。別の説では、この審判の結果、不義人(悪人)は地獄に、義人は天国に永遠にとどまるとされています。

 

キリスト教においては、生前に悔い改めなかった者はシオールに、重大な罪を犯した者は永遠の滅びであるゲヘナに行くとされています。最後の審判では、復活したイエス・キリストが再臨し、裁きを行い、永遠の生命を授ける者と、地獄に堕ちる者を分けるとされています。また、ヤハウェやその息子であるナザレのイエスを否定し、殺人、同性愛、婚外性行為を行い、悔い改めない者には救いがないとされています(黙示録22章15節を参照)。

教父 アウグスティヌスは、最後の審判について「最後の」、「終わりの」という語を使うのは、神が常に人を裁くからだと教えています。

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カトリック教会では、公審判の教義が維持されています。肉体が復活し、魂と結びついた後に、公正な審判が行われるとされています。

プロテスタント ルーテル教会のアウクスブルク信仰告白では、最後の審判においてイエス・キリストが敬虔な者と選ばれた者に永遠の命を授け、不敬虔な者と悪魔には永遠の苦しみを宣告すると述べています。

ウェストミンスター信仰告白33章の「最後の審判について」では、神がこの日を定められた目的について述べられています。それは、「選民の永遠の救いにおいて神の慈悲の栄光が現れ、邪悪で不服従な者の永遠の罰において神の正義の栄光が現れるため」とされています。

ディスペンセーション主義では、患難の前に携挙されると信じられており、ノンクリスチャンが地上に残され、クリスチャンだけが患難時代に携挙され、その後に最後の審判が行われると考えられています。

キリスト教において最後の審判をテーマにした芸術作品には、以下のようなものがあります:

公審判 - ハンス・メムリンク 公審判 - フラ・アンジェリコ 絵画 ミケ

 

ミケランジェロの最後の審判

ミケランジェロは、ローマ教皇クレメンス7世からシスティーナ礼拝堂の祭壇画を描くよう依頼された際、直ちに制作に着手しませんでした。

しかしながら、その後もクレメンス7世の後を継いだローマ教皇パウルス3世からも制作を要請され、天井画が完成してから20年以上を経た1535年、ミケランジェロは60歳にして制作に取り掛かりました。

『最後の審判』は、教会で広く描かれるテーマですが、通常は入り口の壁面に描かれることが一般的です。

キリスト教では、キリストが再び現れ、死者が蘇り最後の審判が行われ、天国と地獄に行く者が分かれるとされています。

当時、宗教改革の動きがヨーロッパを席巻し、教皇の権威は低下していました。1527年の「ローマの劫略」ではドイツ兵がヴァチカンに侵攻し、クレメンス7世はローマから逃れざるを得ませんでした。

このような状況下で、教皇や教皇庁は神の正しい裁きを強く望み、『最後の審判』が礼拝堂正面に描かれたとされています。

この作品では、400人以上の人物が描かれ、人体は前作である天井画よりもさらに筋肉質で立体的に表現されています。

壁画の上部には、聖人たちや殉教者を含む天上の世界が描かれ、キリストを中心に十二使徒や聖人たちが配置されています。

キリストの下部では、天使たちが「最後の審判」の始まりを告げるラッパを吹いています。その左側(キリストの右側)には天国へ行く義人、右側(キリストの左側)には地獄へ行く罪人が描かれています。

義人と罪人の区別がはっきりせず、天使には翼がなく人間と区別がつきにくい表現がされており、これはミケランジェロならではの特徴です。

最下部の左側では、次々に蘇る死者が描かれています。右側では、地獄の王ミノスに導かれ、罪人を運ぶ渡し船の船頭カロンが描かれています。

ミノスのモデルは、ミケランジェロの裸体像を批判したビアージョ・ダ・チェゼーナとされ、彼は悪魔に取り囲まれ、自分の絵を見て教皇パウロ3世に訴えましたが、教皇は彼の問題に対処しないと答えたとされています。

ミケランジェロはこの絵画を制作する際に、ダンテの神曲「地獄篇」から着想を得たと言われており、キリストの右下には聖バルトロマイが描かれていますが、その顔はミケランジェロ自身のものとされています。

この絵が発表されると、全裸の描写が不道徳だとして非難が起こり、トレント公会議で腰布を描くことが決定されました。しかし、20世紀後半の修復作業により、最初に描かれた腰布だけが残され、他はオリジナルのままであることが確認されました。

また、修復作業により、ミケランジェロの絵画が実際にはくすんだ色彩ではなく、鮮やかな色彩で描かれていたことが判明しました。背景の青色には高価なラピスラズリが使用されています。

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